人生はマラソン

 

昨日の、体操・全日本選手権個人総合予選。個人的に思うことがあったので久々にブログを書いてみようと思いました。

 


テレビやネットのニュースでも大きく報じられましたから、ご存知の方も多いと思います。

 


内村航平選手、予選37位。

 


日曜の決勝に出場できる30位のラインを超えられませんでした。


足がひっかかりミスのあったあん馬。
肩を押さえ中断した平行棒。
器具から降りた瞬間、記者席を含め、会場にいた多くの観客から起こるざわめき。


そして、着地で手をついた最終種目の鉄棒。
止まったか、と思った瞬間前に倒れる内村選手の姿。息を潜めながら見ていた皆が声を漏らし、会場内には心なしか重い空気が広がりました。

 


頭に浮かぶ「まさか」の3文字。

 


会場内のビジョンに映し出された内村選手の表情は悔しいとも悲しいとも受け取れる複雑なもので、ハハッ、という乾いた笑い声が聞こえてくるような苦笑の表情を浮かべる場面も見えました。

 


この中で、いったい、何を語るんだろう。
多くのメディアが集まるミックスゾーンで、競技後静かにその時を待ちました。


「これは練習通りの結果であり、特に悔しい思いもない。練習でできないことは本番でできない。」
「練習から、やる気があるのにできない意味がわからない」
「もっと早い時点で地獄を見ておけばよかった。」

 


口から出る言葉はどれも衝撃的なもので、ずっと取材をされてきた記者の方々も声をかけることをためらうような重い空気。


しかし、感情を抑えつつもつとめて冷静に受け答えする姿に私はただ驚き、感銘を受けていました。
自分でもどう受け止めるか迷っているであろう現実に、取材陣の前で、冷静に向き合う姿勢。そこから人としての器の大きさを感じるしかありませんでした。


それが競技をする者の使命だろうと思う方もいるかもしれません。しかし、常日頃から発言のみならず一挙一動に注目され、そこに責任が発生しているなかで、常に冷静に平常心で対応するというのは紛れもなくプロ中のプロだと思うのです。


体操の技術力のみならず、その振る舞い一つひとつが「キング」。
改めて、私なんかが偉そうに言うことではないのは承知ですが、体操界を引っ張ってきたキングの姿をまた見たいと、今は心からそう思います。
昨日感じてしまったあの「まさか」という邪推を、笑い飛ばしてくださるその時を、待っています。

 

 

 

 


...

 


さて、S-PARKが始まりちょうど1年と少し。
今回のこともそうですが、入社4年目で初めて足を踏み入れたスポーツ取材の現場で感じることはたくさんあります。
ここまで何か一つのことに打ち込んだことのない自分にとっては、アスリートの皆さんに触れる時間は、勇気や気づきをいただく貴重な時間である一方で、自分のコンプレックスを刺激され少し落ち込む時間でもあります。
「私ができること」って何もない、あったとしても本当に小さなものなのだなぁ、という現実と向き合うのは少し力がいるものです。


だけど、そんな時思い出すのはイチローさんの言葉。


『少しずつの積み重ねでしか、自分を超えていけないと思っている。一気に高みにいこうとすると、今の自分とギャップがありすぎて、それを続けられない。地道に進むしかない。』

 


理想や目標はあっても、そこまではまだまだ距離があって、前を見るたびに息が切れそうになるけれど、「人生はマラソン」。
(この間、佐々木恭子アナに相談した時、この言葉を教えてもらいました。)


人間、少しずつしか進めないので、時に立ち止まり休みながら、「日々の合格点を地道に上げていく」しかないんですよね。


イチローさんとは人としてもプロとしてもレベルは全く違うけれど、勝手に背中を押されたような気がしました。

 


貴重な経験をできていることに感謝して、これからも一歩一歩頑張ります。