柔よく剛を制す?





「たのもーっ!!!」 





榎並の背後から、威勢の良い声が。 


榎並 「この声はまさか…」 


恐る恐る振り返る榎並。そこには… 


本田 「たのもーっ!!!」 




平井と同じく、今週末の全日本選抜柔道体重別選手権
MCを務める本田朋子が、柔道着姿で立っている。


榎並 「(あちゃー…)」 


うなだれる榎並。


本田 「榎並、たのもーっ!!!」

榎並 「本田さん…。道場破りじゃないんですから…。」

本田 「たのもーっ!!!」

榎並 「すいませんが・・・平井さんの相手したばかりでいま疲れてるんですよ…」

本田 「私だってMCとして、勉強したいん、だものっー!!!」

榎並 「いやだから・・・仕事もまだ残ってるので・・・」

本田 「今日は、サボろーっ!!!」

榎並 「いやいや・・・ってか何ですかその韻をふんだ感じ・・・」

本田 「つべこべ言わず、たのもーーーーーーーーーーーーーっ!!!」 




榎並 「はぁ・・・分かりましたよもう・・・」 




ところ変わって会議室。




ドシン!

「キャーッ!」

バシン!

「キャーッ!」

ズバン!

「キャー!!」


二人が会議室に入って10分。
時おり床が揺れ、悲鳴がこだまする。



本田 「うー!なんでそんな強いのよー!今度こそ!」 




榎並の前に、本田は苦戦していた。


榎並 「ふっふっふ…もう私に邪念(※〉は無いのです…」


※ 「邪念」

「顔が近くて照れるね…」       →   「そりゃぁ!」

       



そう。榎並は平井との戦いの中で学習していたのだ。


榎並 「…さあ、今日はこのくらいにしておきましょう。」

本田 「ちょ、ちょっと待ってよ!」

榎並 「もういいでしょう…またいつでもお相手しますから。」


会議室を去ろうとする榎並。


本田 「待ってってばー!まだ終わっちゃやだよー!!」




榎並の袖をつかむ本田。


榎並 「まだ投げられたいんですか!?」

本田 「投げられるのはいやだけど…」


袖をつかむ本田の左手に、力が入る。


本田 「それでもいいから…もう少しだけ…榎並とこうしていたいの…」




榎並 「え…?」




つづく