※怖い話が苦手な方は、本記事の閲覧はご遠慮下さい。
8月14日は国民皆泳の日。
日本水泳連盟が1953年に制定した記念日である。
泳ぎと言えば、私は高校・大学と、水泳部に所属していた。
水泳部と言っても、主に遠泳を行う部活で、
夏になると千葉の海のそばで合宿をしていた。
その日は、レース形式の練習を行っていた。
浜を出発して沖のブイにタッチし、また浜まで泳いで戻ってくるというレースだ。
当時、僕は鈴木という後輩と泳力が同じくらいで、レースではいつも競っていた。
そのレースで僕はスタートダッシュに成功し、一番でブイにタッチし、折り返した。
復路をしばらく泳いだ時に、鈴木とすれ違った。
「よし、今日は圧勝だ!」
そう思って泳いでいたら、海草が足に絡まってしまった。
その影響で少し失速してしまったが、レース終盤にはスルリと海草もとれ、
僕は1着で浜にゴールした。
しばらくしてから、鈴木が2着で浜に戻ってきた。
「クソッ!なんでだよ!」
負けたことを、鈴木はかなり悔しがっている様子だった。
「はっはっは、鈴木、今日は俺の圧勝だな!」
「悔しいっす!!先輩、2着は誰だったんすか!?」
「…何寝ぼけてんだよ、2着はお前だろ?」
「違いますよ、俺3着じゃないすか!!!」
よくよく話を聞くと、鈴木が僕とすれ違った際、
僕の後ろをぴったりと誰かが泳いでいたらしい。
そして海草が絡まったと思った僕の足首には、
手形のような痕が真っ赤に浮かび上がっていた−。
戸部 「…いやいや、『浮かび上がっていた−』じゃないでしょ。
国民皆泳の日に泳ぐ人を怖がらせてどーする。」
榎並 「戸部さん…実はこの話には続きがあって…」
戸部 「分かったから、大好きな台場の海に反省ダイブしてらっしゃい。」
榎並 「実は合宿に入る前、その海で落雷事故があって…」
戸部 「レッツダイブ。」
