『小悪魔のビッグジャンプ』
ザーーーーーーーーーーーーーー。
昨日までの陽気が嘘のように、朝から雨音に包まれる台場。
普段は優しい日差しをアナウンス室に注いでくれる窓も、
横殴りの雨を受け、まるで泣いているよう。
榎並 「(ふ…人生晴ればかりじゃないさ。こんな日があってもいいだろう。)」
感傷的な気分に浸った自分に酔っている、残念な榎並。
そんな榎並の耳に、春一番のようにスカッとした声が飛び込んでくる。
松村 「せーんぱいっ!」
松村だ。そのはちきれんばかりの笑顔が、榎並の感傷モードを一瞬にして吹き飛ばす。
榎並 「ははは、松村は相変わらず元気だな。どうしたんだよ、傘なんて振り回して?」
松村 「もぅ!これ、傘じゃなくて、ブラシです!TVでカーリング見てたらやりたくなっちゃって。」
榎並 「なるほどな。 しかしまた、ずいぶんなブラシだなぁ。」
無邪気な後輩を微笑ましく思う榎並。 と、何かを思いついたような顔を浮かべる松村。
松村 「榎並先輩、今ちょっとお時間いいですか?」
榎並 「ん?いいよ。」
松村 「やった・・・じゃあ・・・」
それは突然だった。
松村 「・・・榎並先輩、スキッ・・・!」
つづく