
胸がいっぱいになった日。
「中村勘九郎 中村七之助 特別公演2017」の
東京ならびに大阪公演の
芸談コーナーを担当いたしました。
ふだんなかなか歌舞伎をご覧になれない方に
見ていただこうと、全国を巡業するイベントで、
今年で13回目になりました。
第一回の制作発表の司会を務めたご縁で
毎回拝見していて、亡くなられた武藤まき子さんが
芸談コーナーを担当していらしたのが印象に残ります。
天国のおまきさんから「てんこ!もっとメリハリ付けて
しゃべりなさい!!」なんて声が聞こえてきそうです。
中村屋のご兄弟にとって、新作が多かったこの一年。
野田歌舞伎の思い出について七之助さんが、
「2001年の”研辰の討たれ”の初日は、
観客総立ちの拍手喝采で、再び幕が開くと客席が壁のように
見えて凄かった。いつも新作は緊張することはないのに
この夏の野田歌舞伎の初日ばかりは緊張した。けれども、
同じ興奮を味わえた」と。
勘九郎さんは、「やはり父も出たかっただろうと思う」と、
おっしゃっていました。
パンフレットは、文京シビックホール他のもの。
いつもなら塚田圭一さんのインタビューが掲載されていたのに
それもなく寂しい。
空の上の方々に思いを馳せて、胸がいっぱいになった一日。
2017年の思い出。
もうすぐ大晦日。
歌舞伎研究家にしてわたくしの人生の師匠、
塚田圭一さんのご命日がやってきます。