
「かぶと、かぶと〜!」
そう呼んで、世話をしていた。
突き出す角に憧れたらしく、虫の中で1番好きだと、何度も話していた。
彼が、死んだ。
昨日の夕方、カブトが動いていないのを、怪獣が見付けた。
「あれ〜?ちょっと、みてみる〜!」
虫かごを開け、小さく縮こまり、動かないカブトを拾い上げ、
「・・・」
しばらく言葉がなかった。
「えさは、あげてたのにね〜かわいそうだったね〜でも、しかたないね〜」
私が怪獣にかけた言葉を、そのまま繰り返す。
怪獣なりに、気持ちの整理をしているようだった。
その後、
「こうえんに、うめてあげる〜!」
そう言って、スコップを持ってきた。
家から歩いてすぐにある公園。
ここには、金魚やカマキリや、メスのカブトムシが眠っている。
可愛がっていた生き物が死んだら、天国に行ける様に埋めてあげよう。
自然な流れでそうなってきた。
今までは、常にパパと一緒にやってきた作業。
私が手伝おうとすると、
「ぼく、ほれるよー!」
そう言って、数センチ土を掘り起こし、カブトムシをきちんと埋めた。
そして、
「あんっ!ってするの。」
と、拝むポーズ。
「げんきに、てんごくに、いってください!ありがと〜ぅ!」
そう言った後、初めて笑顔を見せた。
“元気に”“天国へ”
たくさん遊んだし、ありがとうも言ったし、
きっと、行ってくれるよ。
生き物を通しての怪獣の変化に、
ちょっと嬉しい気持ちを抱え、家へ帰った。
と、その帰り途中。
怪獣が、何かを見付けて立ち止まった。
今度は、動かなくなったセミだった。
もしや、またですかー?
( ̄▽ ̄;)
もれなく、公園へ逆戻り。
カブトムシの次は、セミの埋葬式なのでした〜。