「夫婦喧嘩」

今年初の松茸は、鱧と一緒に卵をまとい、香りは高いが、じんわり優しい良い味だった。

卵とじってば、夫婦に似ている。そんな風に思うのは、私だけか。



怪獣の七五三のお祝いをするため、義父母が大阪から来ていた。

義父は仕事を終えた今も、地域のボランティアや友人との趣味の集まりに、3日と暇が続かないくらい忙しい。
「家族の行事とどっちが大事よね〜?」
2泊でとんぼ帰りする義父のことを、私の手伝いで早くから来てくれた母は呆れ顔で言っていた。

そして義父は、私や孫達へとは違い、義母に対しては厳しい。この年代の夫婦関係には、珍しくないのかもしれないけれど。
娘がいない義母は、私に義父のちょっとした愚痴をこぼす。義父には悪いが、それが義母と私の距離を近くしている。

今回の滞在中にあったこと。

義父は何に対しても一生懸命になる人で、怪獣とのカードゲームであっても決して手を抜かない。
“相手をしてやっている”というテンションは皆無。怪獣が喜ぶわけだ。

その日は、私が食事の準備をしている間に、義父母と怪獣と3人でカードゲームをやり始めた。

それまで何度も怪獣の相手をさせられていた義母は、すっかり慣れていて、義父よりもスムーズにカードを送り出す。
「逆周りになるんやから、私の番やんか〜。なにやってんの〜(笑)」
最初のうちは、義母の笑い声がよく届いていた。
そして、義母が連勝。(ま、それは関係ないかもしれないのだが・・・)

だんだんと。徐々に。

義父の義母への語気が強まる。
ルールの解釈への議論が始まる。
「ケンカしてるみた〜い」と義父母の大阪弁に対して怪獣が言っていた冗談が、通じなくなる・・・


カードゲームですよ。
子供相手の。
どーでもよい、とは言いませんが。


不謹慎な嫁は、微かに沸き上がってくる笑いを堪えるのに必死。
ただ免疫のない怪獣は、「やめて〜!」と叫んでも止まらない義父の言葉に、泣きながら私の所にやってきた。

涙目の私と、泣いている怪獣。

ヒートアップする義父と、私の反応に気付き笑い出した義母。


まったく。


当然、私がケンカの仲裁に入る勇気はなく(笑)
どうやって終わったのか、今となっては忘れてしまったけれど。


ビックリしたのは、その直後。
義母は、デジカメの写真データを見ながら、ポコにこう話しかけていた。

「これだ〜れ?分かる?おじいちゃん、おじ〜ちゃん。覚えてあげてね〜。」


ベテラン夫婦。おそるべし。