
涙の跡を顔にのこし、私の腕の中におさまっているポコを見て、副園長先生は言った。
さすが、するどい。
その瞬間、ポコはニヤリと笑った(らしい)。
それも見逃さない辺り、ポコの性格をよーく把握している。
「良かった!お散歩行こう!!帽子、持ってきたよ♪」
息を切らしながら、ポコに歩み寄るのは、大好きなyumi先生。
私達を見かけてすぐに、ポコが出遅れないように、部屋まで散歩用の帽子を取りに行ってくれたよう。
ポコはニッコリ頷いて、yumi先生の方に手をのばした。
魔法使いみたいに子供の気持ちを切り替えるのが上手いyumi先生には、怪獣もすごくお世話になった。
慣れない園に怪獣が毎日泣いていた時には、私のことまで気にかけて、励ましてくれた。
よくすねていた怪獣には、
「やっくんのご機嫌が悪いのは、あっ!おへそがこんな所(背中)に曲がってついているからだっ!」
と怪獣の背中を指でくすぐっていた。
そうすると、それまですねていた怪獣がきまってゲラゲラ笑いだす。
以来、私もその手を真似てきた。
認可とはいえ、普通よりも少人数の保育園。
友達は少ないけれど、私もポコも、度々、そんな先生方に救われている。
15kgオーバーのポコを抱っこしての登園は、坂道を考えても(例え坂道がなかったとしても)、もはや現実的ではない。
1ブロック歩くだけで・・・まるで罰ゲーム。
抱っこできるなんて今だけ!とは言え、腰を痛めたらやっかいだし。
yumi先生に、抱っこ抱っこになった時のポコの気持ちを切り替える魔法を、今度教えてもらおう。