この先見たいもの

バブル、と言われた時代
街中に残っていた小さな家は
あっという間に取り壊され
また、あっという間に
豪勢なビルになったりした



今の景気は ご存じのとおり
店じまいしても
この先どんな店になるのか
ずーっと閉まったままの建物が
少なくない


日曜日のこと
ある調教師さんが
廃業した

廃業…かなりきつい言葉だが
つまりは
馬主が新規に馬を預けなくなる
残った馬も成績がよくない
こうした連鎖で「店じまい」
最近の競馬界では
実は、よく聞く言葉になってしまった

その調教師さんは述懐していた
「開業したころ(1991年)は
景気の良さが残っていた時代であり
競馬のよい時代を過ごさせてもらいました」

実は、競馬の売り上げのピークは
バブルが弾けた年より、ちょっと後のこと

だから90年代は
競馬界で働く人にとって
まだまだバブル期だった

それから
ご多分に漏れずバブル破たん
馬主の数も減ってきた

サラブレッドという
かなり不確実な
そして高価なものを手にして
毎週競馬を楽しむ
そんな人は
もはや少数

馬は走らなくて当たり前
そう言いながら長年馬を持ち続けている人が
かつては多かった

馬が走るのは昔も今も同じだが
今は
馬を囲む人の事情が違うようで


さて
そんな境遇に生きる調教師
「師」であるからには
持っている技術で
馬を走らせる
そういう人であってほしい

経営が苦しくなり
70歳の「定年」まで持ちこたえられず
廃業する人がいる時代
しかし
その厩舎で働いている
厩務員や調教助手は
一緒に失業するわけでなく
別の厩舎で働き続ける
ために
厩舎は簡単に減らせない
冒頭にふれた
商業ビルとは事情が全く違う

今は
新規調教師試験にパスしたら
すぐに開業

パスしてから開業までの間
先輩調教師について歩き
馬主を紹介してもらったり
国内外の競馬事情を勉強したり
そんな時間がない

何が巧ければ「師」なのか
昔と今は
調教師に必要な資質が
かなり異なっている

それでも
師、が見せる競馬の奥深さ
これを失ってはいけない
切に、思う