ある騎手のこと

競馬の世界では 2月末日が 年度の終わり 
2月25&26日が
年度ラストの開催日となる 

この日で去る人 いるわけで 
年度中に 70歳になった調教師は
一斉に定年となり引退 

そして
定年はない仕事だけれど
自らここで節目をつけ
ムチを置く=引退する騎手がいた

伊藤直人 いとう なおと 
1993年デビュー
ここまで 137勝

一年で100勝する騎手もいる中
この記録は かなり地味

グレードレースは 6回勝った
うち5回は
「スマートボーイ」とのコンビ

とにかく 逃げの一手だった馬
逃げられなければ とにかくダメ
逃げてナンボ とは まさにこの馬のため

中堅どころは 
「この馬といえばこの騎手」
みたいなイメージが持たれにくい
そりゃそうだ
名コンビができていたら
もっと目立って=勝っているはずだもの

その点、伊藤直人が
特異な脚質のこの馬に 長く乗っていたことは
幸せだったともいえるのではなかろうか

日曜 中山競馬場 最終レース
彼にとっても 最後のレース
ローブドブルール というベテラン牝馬に乗ったが
10着

騎手仲間が レース後
ささやかなセレモニーを

「自分がその輪の真ん中にいるというのが
想像つかないんですけど…」

直前までそんなことを言っているから

思いっきり舞ってきて!

そう声をかけて送り出した ウイナーズサークル
舞う…?

そう 胴上げ

寡黙な男は この日も
決して多弁になることなく 競馬場を去った

3月からは 厩舎の「調教助手」となる
レースに送り出す側に なるわけだ

G1レースを勝つ馬を仕上げれば
表彰式には お立ち台が用意される

騎手時代にできなかった G1勝ちだけど
晴れの舞台には まだ立つチャンスがある!



その腕を生かし ガンバレ伊藤直人!!
ひとまず お疲れさま